2019年1月から3月は平年に比べて暖かく、月当たり降水量も数ミリと少なく乾燥した冬を過ごしました。その結果、発芽が昨年に比べて2週間ほど遅くなりました。開花も遅くなりました。また、梅雨は平年より10日程度長く安曇野天王原では7月29日まで雨模様で、その後から数日は急に晴天となり最高35度の日が続きました。メルロー樹はこの気候変化に対応できず一部で植物生理障害が起こりました。べレゾンは8月15日頃から始まりとても遅い色付きでした。 この厳しい経過から9月は一転晴天が続き遅ればせながら糖度が追いついてきた年です。 シャルドネはとても良い状態で健全な果実が収穫できました。 追伸 試験的に植えた善光寺龍眼2本の樹に3年目にして初めて各1つずつ果実が実った記念すべき年です。 安曇野天王原の垣根龍眼の実の写真です。
髙橋節郎氏は現在の安曇野市北穂高の地で生まれた漆芸芸術家です。また、再生保存されている髙橋氏生家のある髙橋節郎記念美術館から東を眺めると、高瀬川左岸のわが天王原ワインぶどう畑が見えます。 僕は天王原畑の開墾からワインぶどうの生育期にかけての3年間で10回以上は髙橋節郎記念美術館を訪れ、先生の作品に心を癒させていただきました。 地元にこのような漆芸作品を作る方が居られ、漆芸を芸術の域に高められたその努力、創造力、僕の想像を超えたモチーフに癒され、感動し、無収入のぶどう樹育成2年間、不安な僕に力を与えてくれました。 4年目に入り、いよいよ天王原畑で採れたぶどうでワインができるようになるときに、節郎ラベルの天王原ワインをつくりたいと思い、僕のお気に入り作品をワインのエチケットに利用する許可を頂きました。 日本の田舎原風景であり、アートの町安曇野とワインとの親和性をとても気持ちよく感じています。
新しいワインのためのエチケット(表ラベル)の最終調整を進めています。 エチケットの画は安曇野が生んだ人間国宝の漆芸芸術家高橋節郎先生の作品より、僕のお気に入りをお借りすることとなりました。 高橋節郎美術館は天王原畑のすぐ近くにあり、そこが生家でもあります。生家の場所を美術館としたことは、節郎先生にとっても奥様にとっても大変嬉しいことだと思います。 奥様にお会いして、僕のお気に入り作品をエチケットといして是非お借りしたいという熱い思いをお伝えしご承諾いただきました。 節郎ラベルは、単一畑で、異なるブドウ品種を最適な時期に同時に収穫し混醸する手法で、発酵の段階から熟成まで同時進行となるブレンドワインのシリーズです。 ボルドーのようにそれぞれの品種を最適な時期で収穫し、別々に醸造・熟成を経て最後にブレンディングするのではなく、同時収穫して醸造の段階から畑の植生の比率で熟成させていく手法で、ワインとして全体の一体感をより重視した、天王原畑のこの区画、この年のワイン、オンリーワンのワインをご提供することで、その土地のぶどうの毎年違う味わいをお楽しみいただけるのではないかと思っております。