私と隠岐安弘作品との出会いは今から3年前です。彼は明科で養蜂を生業としながら、冬の農閑期に東京で版画を創作して暮らしていたそうです。50代の若さで亡くなったのですが、彼の同級生仲間が彼の作品をずっと保管管理し続けていました。それで、3年前に没後10周年記念の展覧会を碌山公園の研成ホールで開催しました。私は、この赤い版画作品に心を打たれて駆け付けたのですがちょうど展示の片付け最中でした。
そこにいた、隠岐安弘氏の同級生代表者に、この斬新な作品をぜひ私のワインエチケットに使用させていただきたいとお願いしたところ快くデータ化してくれました。そしてその後の反響の凄さに驚きました。この作品はとてもインパクトがあるので普通のワインではだめだと感じました。【天王原ヌーボーマグナムボトル】のエチケットとして使用したところ、今まで隠岐氏を応援してくれていた同級生や親せきの方々、地元の方々から注文が殺到し半年足らずで152本のマグナムボトルが完売してしまったのです。隠岐安弘氏の作品は海外からの評価が高く海外の展示会では購入されていたようですが、国内ではそうでもなかったようです。養蜂を生業としながら死の最後まで版画の創作活動に取り組み続けた隠岐安弘氏へのオマージュを込めて天王原ヌーボーが誕生したのでした。
もう一つの写真ですが、突然彼の親せきの方から電話が来て、彼を応援するために買った作品を是非ともプレゼントしたいと連絡がありました。隠岐安弘氏の作品に惚れ込んでくれたのに感激して、どうしてもこの作品をプレゼントしたいとの一点張り。声の感じからして70歳後半の女性で隠岐氏の親せきの方でした。なので遠慮なくいただきました。
養蜂をしながら版画創作に心血を注いだ隠岐安弘氏。ゴッホのように没後に有名になる場合も多いのでこれから注目評価されることを願っています。